2025年8月21日、慶應義塾大学三田キャンパス北別館にて、「慶應スタートアップインキュベーションプログラム(以下、KSIP)」採択チームを対象とした「第1回 必須研修会」を開催しました。
・背景と目的
2023年に開始したKSIPは、これまで個別伴走支援を中心に進めてきました。
3年目を迎えた本年度は、支援の中で培われた暗黙知を形式知へと転換し、起業に必要な知識や心構えを体系化して共有する新たな試みとして、本研修を実施しました。
研修の目的は、慶應義塾の基本方針を理解するとともに、スタートアップ創業・経営の基礎を学ぶこと。
参加者にとっては、直面する課題解決のヒントを得ると同時に、慶應発スタートアップとしての心構えや指針を確認する機会となりました
・慶應義塾大学発スタートアップの意義
冒頭では、イノベーション推進本部より、慶應義塾におけるスタートアップ支援の理念やKSIPの位置づけについて説明が行われました。
慶應義塾におけるスタートアップ支援は、「全社会の先導者たらんことを欲するものなり」という義塾の目的のもと、教育・研究成果を社会に実装することで社会貢献を目指す取り組みです。
その理念に共鳴する塾員やパートナー企業からのご支援を活かしながら、研究者や学生が挑戦を通じて成長し、新たな価値を創出するスタートアップの育成を推進していく――そのような想いが共有されました。
続いて、山岸副理事と公認会計士三田会の小坂先生による対談では、「研究者が起業に臨む際の心構え」をテーマに、慶應義塾大学発スタートアップとしてのあり方が語られました。
起業を通じて得られる成果を自己や自身の企業の利益のみに留めず、慶應義塾の理念に基づき、さらなる価値創造へつなげることで、次世代や社会へ還元していく――そのような価値の循環を生み出すことこそが、慶應から生まれるスタートアップの意義であることが共有されました。
本対談は、採択チームにとって大きな示唆を得る機会であると同時に、聴講したイノベーション推進本部の教員にとっても、支援のあり方を考える上で貴重な対話の場となりました。

・起業おいて必須となる知識研修へ
その後は「学内研究者のためのスタートアップガイド※学内限定資料」をベースに、創業期に欠かせない基礎知識が解説されました。
研修で扱われた主なテーマは以下の通りです。
・資本政策の基礎
・研究成果に基づく事業化の要点
・創業チーム構築のポイント
・利益相反マネジメントの基本
「資本政策の基礎」では有限責任あずさ監査法人からも講師を迎え、支援の広がりを感じられる時間となりました。
いずれの講義においても、各チームの実体験や現在直面している課題に基づく具体的な質問や意見交換が交わされ、活発な対話が展開されました。

・今後に向けて
本研修を通じ、KSIP採択チームは「創業期の基礎」を築く重要性を改めて理解し、実践に向けた視点を磨くことができました。
イノベーション推進本部としても、今回の取り組みをもとに内容をさらにブラッシュアップし、より実践的な要素を組み込んでいく予定です。
今後もKSIPを通じて研究成果の事業化や起業支援を進め、慶應義塾から次世代を担うスタートアップが育つための環境を整えてまいります。
※慶應スタートアップインキュベーションプログラム(KSIP)の詳細はこちらをご覧ください。