
2025年11月19日~22日の4日間、スタンフォード大学にて「SPARK Keio Bootcamp」を実施しました。
本記事では、どんな目的で行われ、どのような学びがあったのかを、4日間のハイライトとともにお伝えします。
SPARK Keioとは?
SPARK Keioとは、2025年より開始した「既成概念にとらわれないアカデミア発の学術的アプローチを、産業界の基準と組み合わせて実用化に導く、実践型の橋渡し研究プログラム」です。
2006年にスタンフォード大学医学部で始まり、今も続くトランスレーショナル・リサーチプログラム「SPARK」のモデル(Stanford SPARK)を、包括的かつ体系的に知識移転(knowledge transfer)する、日本初の試みでもあります。
(※SPARKの詳細は最下部に記載しています)
現在は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する橋渡し研究プログラム(大学発医療系スタートアップ支援プログラム)における医療系スタートアップ支援拠点「慶應義塾スタートアップ推進拠点(Keio Biomedical Accelerator)」において、橋渡し研究の推進の中核として運営されています。
SPARK Keio Bootcamp実施の目的
今回のSPARK Keio Bootcampは、
- Stanford SPARKを現地で体感することで、その実施内容やノウハウを学ぶとともに、その大きな成功要因でもある、プログラムの理念や文化についても体得する
- 慶應義塾スタートアップ推進拠点において、採択され支援中である各チームのプロジェクト推進を加速するために、より具体的なアドバイスや新しい視点を得る
- SPARK Keio コミュニティにおける文化の醸成を図る
大きくこの3つの目的のために実施されました。
Bootcampプログラム
Bootcampには、慶應義塾スタートアップ推進拠点で採択中の8チームのメンバー15名、そしてSPARKコミュニティを共に形成する産業界アドバイザー4名、そして運営メンバー8名の計27名が参加。現地での4日間は、以下のようなプログラムが実施されました。
また、開会の際には在サンフランシスコ日本国総領事館の近江麻美領事からもご挨拶いただきました。
「スタンフォード大学がここまで丁寧に協力することは見たことがない」
と、SPARK Keio への期待の言葉をお寄せいただきました。

また、Stanford SPARK プログラム創始者でもある Daria Mochly-Rosen 氏からは、アカデミック・ファウンダーとして、橋渡し研究の大切さについての経験談をお話いただきました。

慶應義塾がこの「SPARK Keio」の枠組みをしっかりと日本で根付かせることが、日本社会、そして世界に対してインパクトを与える一歩となることを感じる、貴重な機会となりました。
<DAY1 Presentation&Roundtable Discussion>

- SPARK Keio 採択チーム:プレゼンテーション(7チーム)と全体でのディスカッション
- ラウンドテーブル:Stanford SPARKのインダストリーアドバイザーと共に少人数のチームに分かれてのディスカッション
- SPARK Weekly Meeting:20年近く実施されているStanford SPARKの定例mtgへの参加
<DAY2 Lecture>
- 1日目のreflection&パネルディスカッションなど
- レクチャー:Stanford SPARK のアドバイザーによる、橋渡し研究についての7つのレクチャー
- Lunch with Keynote:SPARK修了チームの起業家によるレクチャー
<DAY3 Innovation&Startup session>

- SPARK Keio 採択チーム:プレゼンテーション(1チーム)と全体でのディスカッション
- ラウンドテーブル:Stanford SPARKのインダストリーアドバイザーと少人数のチームに分かれてのディスカッション
- 慶應チームからSPARK Keioについての取り組み紹介
- 現地法律事務所の弁護士による知財や技術移転に関するレクチャー
- 日本&米国のインベスターによるパネルディスカッションなど
<DAY4 Rainforest Innovaton Workshop>

- イノベーションが生まれるエコシステム形成をテーマとするワークショップ
- クロージング
体感するからこそ、伝わること

慶應義塾(SPARK Keio)、Stanford SPARK、その双方が日本で「既成概念にとらわれないアカデミア発の学術的アプローチを、産業界の基準と組み合わせて実用化に導く、実践型の橋渡し研究プログラム」を根付かせていくために本気で取り組んでいる、まさにその志が響きあう時間となりました。
日本からの参加メンバーからも
- 「プロジェクトの進め方について、これまで考えていなかった視点でのアドバイスをいただけた」
- 「スタンフォード大学の経験・知識の背景や考え方を読み取ることができた」
- 「資金調達、ピボット判断など実体験に基づく具体的なポイントを理解できた」
という声が寄せられ、各チームがその研究成果を患者さんに届けていくための大きな期待と足がかりを得たようです。
これからにつながる機会となった初のBootcamp。
SPARK Keioのこれからの展開にもぜひご注目ください。
SPARKは、2006年にスタンフォード大学医学部にて、既成概念にとらわれないアカデミア発の学術的アプローチを、産業界の基準と組み合わせて実用化に導くためのトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)プログラムとして開始されました。研究者が自らのプロジェクトを臨床や事業化へつなげる力を養うため、専門的な教育、ならびにプロジェクトマネジメントや 100 名を超える industry advisor による伴走支援などを通じて、チームとともに各プロジェクトを推進しています。これまでに 200 以上のプロジェクトを支援し、約 50%が技術移転(製薬企業との提携やスタートアップ創出)または臨床試験への進展を達成しています。 https://sparkmed.stanford.edu/