はじめに
近年、大学に対する、社会課題解決やイノベーション創出を通じた社会貢献への期待がますます高まっています。慶應義塾においても、研究成果の社会実装の担い手として、大学発スタートアップの創出と成長の支援を推進してきました。起業家精神を発揮し、困難を乗り越え、新しい分野を開拓していくのは、「全社会の先導者」を育てることを目的として掲げる慶應義塾創立以来の伝統でもあります。
その一方で、本学のスタートアップ支援基盤は発展途上であり、慶應義塾とそれを囲む環境から、大学発スタートアップが自発的に生まれ、成長していくようになるには、大きな飛躍が必要です。その実現のための取り組みの一つとして、「慶應スタートアップ・インキュベーション資金」への支援を募ります。
慶應スタートアップ・インキュベーション資金の趣旨
これまでに、大学発スタートアップの創出と成長を推進する取り組みとして、イノベーション推進本部へのスタートアップ部門の設置、助成金など公的資金の活用、ベンチャーキャピタルや事業会社との連携、伴走支援や個別支援メニューの拡充などを行ってきました。
その結果として、2023年10月に立ち上げた慶應スタートアップインキュベーションプログラム(KSIP)では支援した研究シーズからのスタートアップ創出や資金調達を達成し、2024年度には事業化に向けた調査やコンセプト検証を支援する学内ギャップファンド(「KSIP助成金」)のパイロット運用を行うなど、実績を挙げています。
しかしながら、これまでの取り組みでは、短期的な公的資金を原資とするなど持続可能性に課題もあり、現在の支援内容も十分とは言えません。また研究成果に基づく大学発スタートアップの創出(研究~産業創出)には10年単位での長い時間が必要となります。長期にわたる取り組みを継続するための原資が不足しています(※図表2参照)。そこで、応援の気持ちを持ってくださる個人・法人様から資金面の支援を頂くことで、より充実した経済的な基盤を整えたいと考えています。
本資金を活用した活動を通じて、慶應義塾の研究成果からイノベーションを創出し、社会課題解決と新産業創出を通じて社会に貢献することを狙います。
中長期的には、事業化を実現し、経済的に成功した個人や企業が、その次の世代の支援のための原資を提供する資金循環の流れをつくることで、持続可能なスタートアップ支援の基盤と環境の構築を目指します。本取り組みは、そのための第一歩です。
図表1:慶應スタートアップ・インキュベーション資金のコンセプト

資金を原資とした取り組みの内容
- ギャップファンド(事業化検証資金)の提供:研究成果に基づく事業化アイデアのコンセプト検証のための資金を提供します。
- 事業化支援・経営人材の確保:ビズリーチ株式会社との連携協定、慶應版客員起業家(EIR)制度をはじめとする、人的支援を行います。
- 知識・経験の蓄積と活用:デジタルプラットフォームも活用し、コミュニティー内で知識や成功・失敗体験を共有し、ナレッジを組織として蓄積・活用していきます。
- 支援ネットワークの構築:本学の強みを活かした、支援人材プールの構築や、研究者やスタートアップとのマッチングを行います。
図表2:大学の研究成果からの産業創出のステップ

本取り組みにご賛同頂ける方は、ぜひ寄付金などによるご支援を賜りますようお願いいたします。現時点では、個別にご説明・ご対応させて頂いておりますので、ご関心のある方は、以下からお問い合わせください。