3月3日(金)、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)を会場にGTIE DEMO day FY2022がハイブリッド形式で開催されました。GTIE(ジータイ:Greater Tokyo Innovation Ecosystem)は、東京大学・東京工業大学・早稲田大学を主幹機関とした『世界を変える大学発スタートアップを育てる』プラットフォームで、本学を含む首都圏13大学が参画しています。
昨年5月に募集を開始し採択された17プロジェクトは、GAPファンドからの提供資金及びメンター等のサポートの下、事業化を志向した研究開発活動を行ってきました。本学が企画・運営を担当したこのDEMO dayイベントは、各プロジェクトの最終発表の場として設けられました。会場・オンライン合わせ延べ約299名の参加者が一堂に会し、有識者によるKeynote Lectureや、17プロジェクトのプレゼンテーションおよび審査員との質疑応答が繰り広げられた後、業種・専門分野を超えた活発な交流が行われました。
伊藤公平塾長による開会の挨拶(ビデオメッセージ)
新しい産業の誕生こそが経済発展の鍵であり、大学に豊富に存在するその種=シーズを社会実装して外に出していくことの必要性を説いた上で、本学のアントレプレナーシップ教育の取り組みを紹介しました。また、事業家=アントレプレナーであるとともに、組織同士を繋いで社会全体を変革していく人=インタープレナーであることの重要性を語りました。 その中で、学問により村社会同士を繋ぎ合わせて近代社会の礎を作り上げた偉大なインタープレナーとして慶應義塾の創設者・福沢諭吉の名を紹介し、『学問のすゝめ』でも説かれた「人間交際」の仲間の場にこのGTIEがなることを願うとして挨拶を締めくくりました。
GTIEの活動紹介と、多彩なゲストによるKeynote Lecture
GTIEのプログラム代表者である東京工業大学・辻本教授によるGTIEの活動内容と今後の展開の説明がありました。また、製薬・バイオ・AIなどのテック(Technology)領域で事業を立ち上げてきたゲストとして、モデルナ・ジャパン日本法人の鈴木社長、坪田ラボ代表の坪田社長、シナモンの平野社長の御三方を迎え、アントレプレナー/インタープレナーを鼓舞するような貴重なご講演をいただきました。
17プロジェクトによるピッチイベント
イベントのメインプログラムである、17プロジェクトのピッチ発表(プレゼンテーション)は、大きく2パートに分けて実施されました。 一つは、世界市場・海外進出を狙うスタートアップの創出を支援するグローバルコース(5プロジェクト)およびユニコーンコース(2プロジェクト)で、英語によるピッチ・質疑応答が行われました。もう一つは、市場を問わず大学発の技術シーズをベースにしたディープテック全般ないし社会課題解決を目指すプロジェクトを対象としたスタンダードコース(10プロジェクト)で、日本語でピッチ・質疑応答が行われました。
それぞれのパートには審査員として、米TechCrunch でStartup Battlefieldを統率するNeesha A. Tambe氏や、Scrum Ventures宮田拓弥氏などスタートアップ界を牽引する著名VCらを迎え、各プロジェクトの最終ピッチ(5分)に耳を傾け、続けて行われる質疑応答(5分)では鋭い質問が飛び交いました。各パート終了後に審査会が開かれ、協議の結果、パートごとに最優秀賞が選出されました。 グローバル/ユニコーン採択プロジェクトの最優秀賞は、東京医科歯科大学の池内真志教授が代表者・発表者を務めた「Laboratory Automation in Assisted Reproductive Technology / 不妊治療で用いる生殖補助医療自動化システムの開発」が選ばれました。 スタンダードコースでは、東京大学の金教授が代表者、小池司研究員が発表者を務めた「術前術中の情報を集約した複合現実(AR)手術支援ソフトウェアの開発」が選ばれました。
*詳細なイベント内容や、全プロジェクトの研究内容・研究者、および登壇者・審査員のプロフィールなどは電子パンフレットをご覧ください。
https://drive.google.com/file/d/1UlzPiBtja24ydp_dBFf3KTaQQqj1ebiQ/view?usp=sharing
山岸理事による閉会の挨拶
最後、閉会の挨拶は、本学の山岸常任理事が務め、参加者への感謝の念を述べるとともに、自身のインターネット業界での起業の経験と、現在の株式会社慶應イノベーション・イニシアティブでの、主にディープテック領域を対象とした起業支援の立場とを比較しながら、このGTIEの場を使ってより多くの人の協力を得ながらより大きな社会課題の解決を目指してほしいと述べました。
GTIEでは、引き続き参画大学の革新的技術シーズを基に、グローバル市場を目指す大学発スタートアップやSDGsの達成にも資する社会的インパクトの高い大学発スタートアップの創出を目指しています。来年度募集のアナウンスがあった際には、『世界を変える大学発スタートアップ』を目指し、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
撮影:田中 振一